Ori and the Will of the Wisps
「Xbox Game Pass for PC」100円トライアル期間も終了が近付き、管理人は満を持して温存していたタイトル「Ori and the Will of the Wisps」をプレイしてみました。
小さな精霊オリが森中を駆け回り、巨大な闇と闘う感動のパズルアクション「Ori and the Blind Forest」の続編。
最愛の家族が危機へと陥り、再び危険渦巻く森の中へ進むオリ。
過酷な道のりと戦いの末、勇敢な”運命の精霊”は何を見るのだろうか・・・
STORY & OVERVIEW
今作の主役は前作同様やはり「オリ」。
抜群のキャラクター性と愛らしさを持って画面中を駆け巡ります。
また、今作からのキーキャラクターとしてフクロウの「クゥ」が登場、オリと共に森を飛び回ります。
が、意外と「クゥ」の登場場面は少なく、結局やっぱりオリがたった1人で戦わなければいけないのは若干残念ではあるかも。
ただ・・・これはストーリーデザイン的な側面から「こうでなければいけなかった」部分とも言えるので致し方無くはある。
前作「Ori and the Blind Forest」では、ストーリー面はかなり簡素な内容でしたが、今作ではそこに若干厚みが加わり、言葉と多くはジェスチャーアニメーション、イベントアニメーションによってオリの物語が紡がれて行きます。
また「森での一角の出来事」がテーマであった前作に対し、今作では「森の存亡を賭けた戦い」がテーマとなり、より壮大な切り口でオリの命運が描かれます。
道中、イベントシーン、共にグラフィックは全編超綺麗。
中間色を生かした幻想的な森の中は何処をとってもまるで絵画の如し。
こんなに絵になるアクションゲームはそうそう無いレベル。
雰囲気抜群の森をただ駆け回るだけで楽しい。
前作もそうだったんですが、とにかく操作性とオリのアクションが素晴らしく、シンプルなゲーム性でありながらプレイしていて全く飽きがきません。
このプレイフィール全般の優秀さは前作から全く失われず、むしろ進化しています。
今作の基本的なゲーム性は、主にアクション面を前作に対してブラッシュアップさせたメトロヴァニア系パズルアクション。
ただパズル要素については前作からの進化は少なく、前作そのままといった部分も多く見られます。
また、パズルアクションは全体的に難易度をかなり落としていて、万人向けアクションゲーム方面へと寄せて完成させている印象があります。
かなりストイックに各場面をジャンプアクションで切り抜ける必要があった前作に比べ、今作はその辺かなり「甘め」、この調整については各人で評価が分かれるかもしれません。
前作では殆ど1人だったオリの冒険も今作では色々と仲間というかコミュニティ?が増え、オリをバックアップしてくれます。
大きく変わったのはやっぱりオリにも「拠点」のような場所が出来たこと。
また、本編以外のミニクエストが幾つかこなせる様になった事。
おそらく本作はボリューム云々に関してそれ程拘っていませんが、ゲームの厚みの部分として前作よりはパワーアップしている点がそこそこ見られます。
とことんシンプルだった前作に比べ、今作ではストーリーや世界観周りにもテコ入れが入り、体感1.5倍ぐらいに深みと厚みを増しています。
基本的にはシンプルに、ジェスチャーを基本する描き方は変えず、雰囲気を壊さない範囲で綺麗にこの辺りをブラッシュアップしてきた印象。
音楽もとてもゲームの音楽とは思えない程のクオリティである点も前作と変わらず。
また「不変の優しさ」と「生死を描く厳しさ」を大きなテーマとして描かれる物語は今作でも健在、あらゆる人に深い感動を与えるはず。
何処を切っても棘が無いオリのゲームデザインの美しさはもはや伝説的というレベル。
ACTION
森の存亡を賭けた戦いに挑む今回のオリはとてもアクティブ。
もはや敵を踏ん付けたり吹き飛ばすだけでは足りんのです。
故・・・今回のオリは斬って叩いて射って更にぶっ放します。
「それだ!おまえに足りないのはそれだったんだ!」みたいな。
敵弾を反射して上空に飛び上がったり、敵を弾き飛ばしたりというテクニカルな要素はそのままに、今作のオリは更にシンプルに敵をバシバシぶん殴れたり、精霊魔法を炸裂させることが出来ます。
特に白熱するのはボス戦、特に凄いのは難易度「ハード」、各節目の数体のボス戦はまさに全部がラスボスバトル並の作り込みと激戦っぷり。
オリの集大成ここにありというでも言うかのようなその出来はお見事の一言。
反面、前作でプレイヤーのコンマ数秒の操作を予見したかのようなギリギリの難易度で攻めていっていた「脱出アクション」が今作では若干緩めの調整になっています。
これはボス戦に限らず、今作全体がパズルの難易度を下げてきている部分の違いなのかなと。
より一般的な内容に「寄せた」とも取れますが、前作のストイックさを知っている人としては評価が割れる可能性はあるかもしれません。
システム的な側面を見る時、大きく今作でブラッシュアップされたのはやはりアクション関連。
オリは12種類の精霊魔法を持ち、また、その中の幾つかについては1段階強化する事が出来ます。
特に「回復魔法」が加わっている事から、今作がやはりアクション面に大きく寄っているという点が見て取れます。
また、道中で手に入る「精霊のかけら」を装備することで、オリを色々とパワーアップさせる事が出来、これについても幾つかは何段階かでパワーアップさせる事が可能です。
システム面からも大きくパワーアップされたオリのアクションですが、かと言って例えば「ビルド」的なものが生み出されるほどアクションが多様かというとそうでも無いです。
あくまで戦い方に幅が生まれたという感じで、基本のアクションはやっぱりシンプルなもの。
また、アクションシーンの頻度そのものもあくまでも適材適所であり、アクションのみをとことんクローズアップするようなシーンはそうそう無いです。
強いて言えばボス戦がそれに当たるかなという感じ(特にハード)。
特に今作の場合、ぶっちゃけアクションシステムよりも各人の操作スキルが物を言うので、システム的な方面の楽しさは適度にシンプルに作ってあるという印象ではないかと思います。
また、今作からの全くの新要素として、ゲーム中盤で辿り着くオリの「拠点」のような場所を、道中で発見される「鉱石」等で発展させて行くという要素があります。
これについては若干オマケ感もあるんですが、興味深いサブクエなんかもあり、ゲームを盛り立てる仕組みとして一役買っています
OVERALL
ただただ何処を取っても素晴らしいパズルアクション、それ以外に言葉も無し。
強いて難点を挙げるとするなら、1回の通しプレイのボリュームはそれ程無いという点。
リプレイ性が高い今作であるとは言え、もっと長く続く物語だったら歴史に残る超大作であった事は確実で、おそらく最初から設計された範囲でまとめ上げてられてしまったのは残念な点。
まあただ逆に言うとだからこその超ハイクオリティなのだとも言えるのかもしれない。
確かに限られた時間ではあれ、今作のプレイ体験は本当に貴重なもの。
普通の人間なら多分最後は切な過ぎて目から何かがこぼれ落ちずにはいられない。
個人的には前作プレイ後に今作をプレイするのが最もお勧め、正直前作マストと言っても良いぐらい。
ゲームとして、特に1つの物語として、後世に語り継がれるべき美しいゲームデザインを持った稀有なタイトルであると、僕は思います。